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ドクターズボイス

心臓サルコイドーシスとその診療について

循環器内科|医師

磯部 光章

「心臓サルコイドーシス」とは、どのような病気ですか?

全身の様々な臓器に炎症が起き、「肉芽腫(にくげしゅ)」というしこりができる、国の指定難病です。比較的珍しい疾患で、炎症の広がりや程度は患者さんによって様々です。 このうち、心臓の筋肉に炎症や肉芽腫が現れたものを「心臓サルコイドーシス」と呼びます。多くは肺や目の病変が先行しますが、心臓だけに病変が起きる(心臓限局性)場合もあります。日本人(諸外国と比べ)や10代から中年まで幅広い年齢層に見られ、症状が多彩なため診断が難しいのが特徴です。

どのような症状が出ますか?

主な症状は、心臓のポンプ機能が低下する「心不全」の症状と、脈が乱れる「不整脈」の症状です。

心不全症状 動いた時の息切れ、むくみ、体重の増加など。
不整脈症状 脈が遅くなる(除脈性不整脈)や、速くなる(頻脈性不整脈)の両方があり、めまいや失神(意識消失)を引き起こすこともあります。

これらの症状は他の心臓病と区別がつかないため、症状だけでサルコイドーシスと診断することはできず、見逃されてしまうことも少なくありません。

どのように診断するのですか?

専門医による総合的な判断が不可欠です。心不全や不整脈の症状からこの病気を疑い、心エコー、造影MRI、ホルター心電図(24時間心電図)、そして特にFDG-PET検査といった複数の画像検査の結果を組み合わせて、診断基準に基づき慎重に診断を進めます。 最終的には心臓の組織を採取し(心筋生検)、特徴的な肉芽腫が確認できれば確定診断となりますが、必ずしも組織が採取できるとは限らないため、多くは画像検査の組み合わせで診断します。

  • ※PET検査は診断に非常に有効ですが、正確な結果を得るためには、検査の24時間前から糖質などの炭水化物を厳格に制限する食事管理が必要不可欠です。

治療はどのように行うのですか?

治療は大きく分けて2つのアプローチを並行して行います。

「今ある症状」に対する治療

心不全に対するお薬、不整脈に対するペースメーカー(除脈性の場合)や植込み型除細動器(ICD)、カテーテルアブレーション(頻脈性の場合)、弁膜症に対する手術など、他の心臓病と同様の治療を行います。

「病気の根本原因(炎症)」に対する治療

炎症そのものを抑えるための「免疫抑制治療」です。一般的に、プレドニンというステロイド薬を内服することから始め、炎症の状態を見ながら徐々に減量していきます。

治療の副作用はありますか?

ステロイド治療には副作用の心配が伴います。感染症にかかりやすくなる、血糖値の上昇、不眠、骨密度の低下、顔が丸くなる(ムーンフェイス)、骨粗しょう症など、様々な副作用が起こる可能性があります。 これらの副作用が起きる状況や対処法は確立されており、管理が可能です。当院では、安全性を確認しながら治療を進めるため、適切な期間の入院をお願いしています。病気が生命に関わる重大なものであるため、治療のメリット(炎症を抑える)とリスク(副作用)を丁寧に図りながら、患者さんと相談の上で治療方針を決定します。

治療後の経過について教えてください。

根治は難しい疾患であり、長期間にわたって辛抱強く病気と付き合っていく必要があります。 しかし、早期から治療を開始し、継続することで、病気の進行を止めたり、心臓の働きが改善したりする患者さんも少なくありません。治療後も少量のステロイドを継続し、定期的な検査で状態を確認し続けることが大切です。

貴院の強みは何ですか?

当院は、弁膜症・心不全・不整脈の治療などを得意としており、その治療過程でサルコイドーシスと診断できるケースも少なくありません。免疫抑制治療の専門性も兼ね備えています。心臓治療の新しい知見を取り入れながら、患者さん一人ひとりに合わせた総合的な治療をできるのが当院の強みです。

磯部 光章