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ドクターズボイス

先天性心疾患の外科治療

小児心臓血管外科|医師

和田 直樹

どのような病気を扱っているのですか?

主に、「先天性心疾患」、つまり生まれつきの心臓の病気をすべて対象としています。 小児科と名前にありますが、実際には年齢は関係なく、新生児から成人になられた方まで、幅広い患者さんの治療を行っています。

患者さんはどのような年齢層の方が多いですか?

2021年には年間352例の心臓・大血管手術を行いました。そのうち約半数が1歳未満の赤ちゃんで、生後28日未満の新生児の手術は約50例でした。 一方で、成人になられた先天性心疾患の患者さんの手術も年間30〜50例ほど行っており、近年増加傾向にあるのが特徴です。

新生児の手術はどのように行われるのですか?

近年は胎児診断の技術が進歩したことで、赤ちゃんが生まれる前から病気を発見できるようになりました。 これにより、産婦人科、小児科、外科の各チームが出生前から連携し、最適な診断、治療方針、そして分娩のタイミングを事前に協議することが可能です。その結果、赤ちゃんが生まれた後、速やかに治療を開始することができます。

先天性心疾患の治療は、どのように行われるのですか?

人の心臓には4つの部屋がありますが、機能としては「2つのポンプ」があると考えられます。一つは全身から戻ってきた血液を肺へ送るポンプ、もう一つは肺で酸素を受け取った血液を全身へ送り出すポンプです。 治療方針は、まずこのポンプが2つ使えるか、1つしか使えないかで大きく分かれます。

  • ポンプが2つ使える場合:心臓にある問題点を修復する「根治術」を目指します。例えば、心臓に穴が開いていれば塞ぎ、狭い部分があれば広げ、血液の逆流があればそれを止める、といった手術を行います。
  • ポンプが1つしか使えない場合:非常に複雑な治療が必要となります。

ポンプが1つしか使えない場合は、どう治療するのですか?

ポンプが1つしかないと、全身から戻る血液(酸素の少ない黒い血)と、肺から戻る血液(酸素の多い赤い血)が混ざってしまいます。この混ざった血液を、たった一つのポンプで肺と全身の両方に送り出さねばならず、心臓に大きな負担がかかります。
そこで、その貴重なポンプは、より重要な全身に血液を送る役割に専念させます。そして、ポンプの助けなしで肺に血液を送るために、全身から心臓に戻ってくる血管を、肺につながる血管へ直接つなぎかえる「フォンタン(Fontan)手術」という治療法を選択します。

フォンタン手術とは、どのようなものですか?

ポンプの力を使わずに血液を肺に流すための、非常に優れた治療法です。この手術があるおかげで救える多くの病気がたくさんあります。 ただし、この状態を実現するには、複数回の手術やカテーテル治療による準備が必要になることが多く、外科医と小児循環器科医が密に連携するチーム医療が不可欠です。当院では2004年以降、400例近いフォンタン手術を行い、良好な結果を得ています。

貴院の外科チームの特色は何ですか?

発足当初から、患者さんの身体的負担を少しでも減らす「低侵襲(ていしんしゅう)治療」に一貫して取り組んでいます。 具体的には、手術時間の短縮、無輸血手術への挑戦、そして可能な限り小さな傷で手術を行うことを心がけています。例えば、心房中隔欠損症などの手術では、傷が目立ちにくい脇の下からの切開で行うこともあります。

治療を行う上で最も大事にしていることは何ですか?

当たり前のことですが、患者さんとご家族に、安心して治療を受けていただくことです。 そのために、丁寧な説明を尽くし、頻繁に患者さんの元へ足を運び、お話をよく聞くことを常に心がけています。

和田 直樹