血管外科|医師
浦部 豪
「下肢静脈瘤」とは、どのような病気ですか?
足の皮膚の下にある静脈が、こぶのように太く浮き出て見える病気です。足のむくみ、だるさ、重い感じ、こむら返り(足がつる)などの症状を伴うことがあります。 命に関わる病気ではありませんが、見た目が気になったり、症状によって生活に支障が出たりすることがあります。程度の軽いものを含めると30代以降の半数以上に見られる、非常に身近な病気です。
原因は何ですか?
足の静脈には、血液が心臓に向かって一方通行で流れるように、逆流を防ぐための「弁」がついています。立ち仕事や加齢、妊娠・出産などによって足に負担がかかり、この弁が壊れてしまうと、血液が重力に負けて逆流してしまいます。 この血液の逆流によって、静脈の中に血液が溜まり、血管がこぶのように膨らんでしまうのが下肢静脈瘤の主な原因です。
治療は必要ですか?
下肢静脈瘤は命に関わる病気ではないため、必ずしも治療が必要というわけではありません。しかし、以下のような場合には治療をお勧めしています。
- 足の血管が浮き出ている見た目が気になる場合
- むくみ、だるさ、足がつるなどの症状にお困りの場合
放置すると症状が徐々に悪化し、まれに皮膚の色が変わったり(色素沈着)、皮膚がただれて治りにくくなったり(潰瘍)することがあります。
どのような治療法がありますか?
治療法は、静脈瘤の種類や症状によって異なりますが、主に以下の方法があります。
- 圧迫療法:医療用の弾性ストッキングを着用し、足を外側から圧迫することで症状を和らげます。根本的な治療ではありませんが、症状の緩和や手術後のケアとして重要です。
- 硬化療法:クモの巣状や網目状の細かい静脈瘤に対して、硬化剤という薬剤を直接注射して血管を固めてしまう治療です。外来で簡単に行うことができます。
- 血管内治療(カテーテル治療):現在の主流となっている、体への負担が少ない治療法です。局所麻酔の日帰り手術で行います。
「血管内治療」について詳しく教えてください。
血管の中から逆流の原因となっている静脈を塞いでしまう、カテーテルを用いた治療法です。主に2つの方法があります。
- 血管内焼灼術(レーザー / 高周波):カテーテルの先端からレーザーや高周波(ラジオ波)の熱を発生させ、内側から血管を焼いて固め、塞いでしまう方法です。
- 血管内塞栓術(グルー治療):医療用の接着剤(グルー)をカテーテルで血管内に注入し、血管を貼り付けて塞いでしまう、熱を使わない新しい方法です。
治療で血管を塞いでしまって、大丈夫なのですか?
はい、問題ありません。 静脈瘤になるのは、皮膚のすぐ下にある「表在静脈」といういわば脇道のような血管です。足の血液の大部分は、もっと深いところにある「深部静脈」という幹線道路のような太い血管を通って心臓に戻ります。 静脈瘤になっている血管は、すでに弁が壊れて逆流しており、正常に機能していません。この脇道を塞ぐことで、血液が適切に深部静脈へ流れるようになり、むくみやだるさなどの症状が改善します。
治療後の生活はどうなりますか?
カテーテル治療は日帰り入院で行います。午前中に入院し、お昼過ぎに手術を受け、手術後は歩いてご帰宅いただけます。 治療後の生活では、弾性ストッキングの着用が基本となります。食事などの制限はなく、翌日からお仕事に復帰することも可能です。唯一の制限は、治療当日の入浴ができないことくらいです。



