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ドクターズボイス

心室不整脈について

循環器内科|医師

関口 幸夫

「心室不整脈」とは、どのような不整脈ですか?

心臓の下の部屋にあたる「心室」から発生する、脈が速くなるタイプの不整脈です。いくつか種類があります。

  • 心室期外収縮:単発で異常な拍動が出るもので、健康な方にもよく見られます。症状がないことも多いですが、動悸や脈が飛ぶ感じがすることがあります。心臓に他の病気がなければ、危険度は低いとされています。
  • 心室頻拍:異常な拍動が3拍以上続く状態です。30秒以上続く「持続性心室頻拍」は、意識を失ったり、より危険な心室細動に移行したりする可能性があるため注意が必要です。
  • 心室細動:心室がけいれんしたように無秩序に拍動し、心臓がポンプ機能を失ってしまう、最も危険な不整脈です。ただちに治療しないと生命に関わります。

持続性心室頻拍と心室細動は「致死性不整脈」と呼ばれ、突然死の原因となりうる不整脈です。

どのような治療法がありますか?

治療には大きく分けて3つの柱があります。

  1. 薬物治療:不整脈の発生を予防する。
  2. 植え込み型除細動器(ICD):発生した不整脈を停止させる。
  3. カテーテルアブレーション:不整脈の原因を根治的に治療する。

これらを患者さんの状態に応じて単独または組み合わせて行います。

植え込み型除細動器(ICD)とは、どのような治療ですか?

致死性不整脈が発生した際に、それを自動で感知し、電気ショックを与えて正常な脈に戻すための医療機器です。駅や空港に設置されているAED(自動体外式除細動器)を、体内に植え込むようなイメージです。 左か右の胸の皮下に本体を植え込み、リードと呼ばれる導線を血管を通して心臓に留置します。致死性不整脈が起きたことがある方や、心臓の機能が著しく低下しており、今後発生するリスクが高いと判断される方にこの治療が推奨されます。

ICDだけで十分なのでしょうか?

ICDは、発生してしまった致死性不整脈を止めることで命を救う、非常に重要な治療法です。しかし、不整脈が起きること自体を防ぐことはできません。不整脈が頻繁に起こり、そのたびにICDが作動すると、患者さんの身体的・精神的な負担が大きくなってしまいます。

カテーテルアブレーションとは、どのような治療ですか?

ICDや薬物治療が不整脈の「対処」や「管理」を目的とするのに対し、カテーテルアブレーションは不整脈の原因そのものを取り除く「根治」を目指す治療法です。 足の付け根や首の血管からカテーテルという細い管を心臓まで挿入し、心臓内の電気信号を調べて不整脈の発生源を特定します。そして、カテーテルの先端から高周波というエネルギーを流して、その原因となっている異常な心筋組織を焼灼(しょうしゃく)します。治療時間は3〜4時間程度が目安です。

アブレーション治療のリスクはありますか?

心臓や血管の中で行う侵襲的な治療のため、数パーセント程度ですが合併症のリスクは存在します。主なものとして、治療中に血の塊(血栓)ができて脳などに飛んでしまう脳塞栓や、カテーテル操作による心臓や血管の損傷などが挙げられます。これらのリスクを最小限にするため、慎重な手技と管理のもとで治療を行います。

貴院での治療実績や成功率について教えてください。

当院では不整脈全体で年間1,000例を超えるカテーテルアブレーションを行っており、心室不整脈の治療件数も年々増加し、昨年度は112例でした。 治療成績は、心臓に他の病気がない方の場合は80〜90%程度です。心筋梗塞など他の心臓の病気をお持ちの致死性不整脈の患者さんについては、当院の最近2年間のデータでは72%となっています。

関口 幸夫