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ドクターズボイス

知っておきたい心疾患の出生前診断

小児循環器内科|医師

齋藤 美香

「出生前診断」とは、どのような検査ですか?

妊娠中にお腹の赤ちゃんの健康状態を調べる検査のことです。これには、病気の可能性を調べるスクリーニング検査と、病気を確定させるための精密検査があります。 その中で胎児超音波(エコー)検査は、心臓の構造などを詳しく観察することで、病気の診断と出生後の治療計画を立てるために非常に重要な役割を担っています。

お腹の赤ちゃんの心臓の病気は、どのくらいの確率で見つかりますか?

生まれつきの心臓の病気(先天性心疾患)は、最も頻度の高い赤ちゃんの病気で、およそ100人に1人の割合で見つかります。 ほとんどは原因不明で、ご家族に心臓病の方がいなくても起こり得ます。しかし、現代の医療では治療によって10人に9人が成人できる時代になっています。

お腹の中にいる時の赤ちゃんの血液の流れはどうなっていますか?

お腹の中の赤ちゃんは肺で呼吸をしていないため、お母さんの胎盤(たいばん)から酸素をもらっています。 そのため、卵円孔(らんえんこう)や動脈管(どうみゃくかん)といった、胎児期特有のバイパス血管を使って、肺を迂回する特殊な血液循環をしています。これらのバイパスは、生まれて肺呼吸が始まると自然に閉じていきます。

心臓の病気を生まれる前に見つけることには、どのようなメリットがありますか?

最も大きなメリットは、生まれてすぐに治療を開始できる準備が整えられることです。 重い心臓病の中には、出生後に自然に閉じてしまう「動脈管」という血管が、赤ちゃんの命綱になっている場合があります。 生まれる前に病気がわかっていれば、この動脈管が閉じて赤ちゃんが危険な状態に陥る前に、動脈管を開いたままにするお薬をすぐに投与できます。これにより、安全に出生後の治療へとつなぐことができます。

赤ちゃんの不整脈も、生まれる前にわかりますか?

はい、超音波検査で診断可能です。赤ちゃんの心拍数が正常範囲(1分間に120〜180回)から大きく外れて続く場合、不整脈が疑われます。 不整脈の種類によっては、お母さんに薬を内服していただくことで、胎盤を通じて赤ちゃんに薬を届け、お腹の中で治療することもできます。

もし病気が見つかった場合、どのようなサポートが受けられますか?

当院では、小児循環器科医、産婦人科医、遺伝科医、臨床心理士、ソーシャルワーカーなどから成る多職種チームで、ご夫婦やご家族をサポートします。 赤ちゃんの病気について、出生後の治療、入院期間の見通し、ご家族の生活への影響など、分かりうる限りの情報を丁寧にご説明し、不安や質問にお答えするカウンセリングを行っています。

お産の計画はどのようになりますか?

赤ちゃんに心臓病が見つかった場合でも、帝王切開が必要になるのはごく一部です。 最新の研究では、合併症を減らすために、できるだけ予定日に近い週数で出産することが、赤ちゃんにとって最も良いことがわかっています。産婦人科的な理由がない限り、早く出産させることはありません。