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ドクターズボイス

マルファン症候群とは

臨床遺伝科|医師

森崎 裕子

「マルファン症候群」とは、どのような病気ですか?

骨、血管、靭帯など、体の組織同士を結びつけ、支える役割を持つ「結合組織」の働きが、生まれつき弱い遺伝性の病気です。 全身に様々な影響が出ますが、最も注意が必要なのは、心臓から全身へ血液を送る最も太い血管である「大動脈」が弱くなり、こぶのように膨らんだり(大動脈瘤)、裂けたり(大動脈解離)しやすくなる点です。通常、大動脈解離は高齢の方の病気ですが、マルファン症候群の患者さんは若くして発症することがあります。

どのような症状がありますか?

症状の現れ方には個人差が大きく、全ての症状が一人に出るわけではありません。主な症状は以下の通りです。

骨格系の症状
  • 高身長、胴体に比べて長い手足や指
  • 背骨の曲がり(側弯症)
  • 胸の骨のへこみ(漏斗胸)や出っ張り(鳩胸)
循環器系の症状
  • 大動脈瘤、大動脈解離(最も注意が必要な症状です)
  • 心臓の弁の逆流(僧帽弁逸脱症など)
眼の症状
  • 水晶体(眼のレンズ)の位置のずれ(水晶体偏位)
  • 強い近視や乱視
その他の症状
  • 肺がしぼむ「気胸」など

どのような治療をするのですか?

病気そのものを治すことはできませんが、それぞれの症状に対して治療を行うことができます。特に、命に関わる大動脈解離を予防することが治療の最も重要な目標となります。

  • 薬物療法:大動脈が広がるスピードを遅らせるために、血圧を下げるお薬を、診断されたらできるだけ早い時期(可能であれば小児期)から内服します。
  • 外科手術:薬を飲んでいても大動脈の拡大が一定の太さまで進んだ場合、解離が起こる前に、弱くなった部分を丈夫な人工血管に取り替える予防的な手術を行います。

女性の患者さんで、妊娠や出産に注意は必要ですか?

はい、専門的な管理が非常に重要です。妊娠・出産は心臓や大動脈に大きな負担をかけるため、大動脈解離のリスクが高まります。 そのため、妊娠を計画する前に必ず専門医に相談し、大動脈の状態を評価することが不可欠です。妊娠中から出産後まで、循環器専門医と産科医による注意深い管理が必要となります。

この病気は遺伝しますか?

はい。マルファン症候群の患者さんから、お子さんに病気が遺伝する確率は、性別に関係なく50%です。 ただし、たとえ遺伝した場合でも、症状の現れ方や重症度は親子や兄弟でも一人ひとり異なり、個人差が大きいのが特徴です。そのため、治療方針も個別に立てる必要があります。

診断のために遺伝子検査は必要ですか?

特徴的な症状がそろっていれば、必ずしも遺伝子検査は必要ありません。しかし、特に若いうちなど症状がはっきりしない場合に、診断を確定させて早期に治療を開始するために遺伝子検査を行うことがあります。 また、国の医療費助成制度(指定難病)の申請に、遺伝子検査の結果が必要になる場合もあります。検査を受けるかどうかは、遺伝カウンセリングなどで相談しながら決めることが推奨されます。

どのような公的支援がありますか?

マルファン症候群は国の「指定難病」に定められており、認定されると医療費の助成を受けることができます。また、お子さんの場合は「小児慢性特定疾病」の対象となります。 このほか、情報交換や交流を目的とした患者会も活動しています。ご希望があれば、院内のソーシャルワーカーにご相談ください。

森崎 裕子