アクセス

メニュー

TOP
HOME

ドクターズボイス

高安動脈炎について

循環器内科|医師

磯部 光章

「高安動脈炎」とは、どのような病気ですか?

主に大動脈とその主要な分岐血管に炎症が起こる、原因不明の難病です。「血管炎」の一種に分類されます。 比較的珍しい病気ですが、日本では年間200人ほどが新たに発症していると推計されています。特に、中学生や高校生など20歳前の若い女性に発症することが最も多いのが特徴です。

どのような症状が出ますか?

初期症状は、頭痛、発熱、全身の倦怠感、ひどい肩こり、腕のだるさなど、風邪や他の病気と区別がつきにくい一般的なものがほとんどです。 しかし、中には「耳が詰まる感じがする」「歯や顎が痛む」「雨の日に調子が悪くなる」「腕を上げる動作(洗濯物を干す、電車のつり革に捕まるなど)で気分が悪くなる」といった、捉えどころのない多様な症状を訴える方も多く、なかなか診断に至らずに困っている患者さんが少なくありません。

どのように診断するのですか?

まず血液検査で炎症反応の有無を確認しますが、それだけでは確定診断はできません。 診断で最も重要なのは、CT、MRA、FDG-PETといった画像検査です。これらの検査によって、血管の壁が炎症で厚くなっていないか、あるいは血管が狭くなったり(狭窄)、こぶ状に膨らんだり(拡張)していないかを詳しく調べ、診断を確定します。専門医でなければ診断が難しいこともあります。

治療はどのように行うのですか?

治療の基本は、炎症を抑えるための「免疫抑制治療」です。 まず、ステロイド薬(プレドニン)による治療を開始します。ステロイドは非常によく効き、症状は速やかに改善しますが、薬を減らす過程で再発(再燃)してしまう方が多くいらっしゃいます。 その場合は、別の種類の免疫抑制薬や、最近では「アクテムラ」という生物学的製剤(注射薬)を併用して、炎症をコントロールしていきます。一人ひとりの病状や薬への反応、副作用を丁寧に見極めながら、最適な治療法を選択します。

治療後の経過について教えてください。

残念ながら、この病気を完治させることは難しく、長期間にわたって病気と辛抱強く付き合っていく必要があります。そのため、定期的な画像検査などで血管の状態を確認し続けることが大切です。 血管の狭窄や拡張、あるいは心臓弁膜症などが進行し、症状がみられる場合には、手術が必要になることもあります。ただし、炎症が活動している時期に手術やステント治療を行うと再発のリスクが高いため、まずは免疫抑制治療でしっかりと炎症を抑え、最適な時期と方法を見極めて外科的治療を行うことが極めて重要です。

何科を受診すればよいのでしょうか?

この病気は症状が全身に及び、多くの診療科に関わるため、特定の「何科」というよりは、専門家によるチームで診療を受けることが理想です。 特に、免疫抑制治療の専門家、血管や心臓の専門家、そして心臓血管外科医が連携できる体制が整っていることが重要です。血管の画像診断や最新の治療薬に関する知識も日進月歩ですので、この病気の診療経験が豊富な医師に相談されるのが良いでしょう。

貴院の強みは何ですか?

当院では、院長自身が長年にわたり多数の患者さんの診療に携わってきました。現在も100名近い患者さんが通院されており、そのうち約30名がアクテムラによる治療を受けています。 免疫抑制治療の豊富な経験に加え、当院は心臓血管外科を得意としており、手術が必要な患者さんも多く受け入れています。内科的治療と外科的治療を緊密に連携させながら、患者さん一人ひとりの病状に合わせて最適な医療を提供できるのが最大の強みです。

セカンドオピニオンを受けることはできますか?

はい、可能です。 現在治療を受けている医療機関からの紹介状と、これまでの画像検査データなどをご用意いただければ、セカンドオピニオンや今後の治療(免疫抑制治療、手術)に関するご相談に応じています。詳しくは当院のホームページをご覧ください。

磯部 光章