循環器内科|医師
中山 敦子
「Fabry病」とは、どのような病気ですか?
特定の酵素(α-ガラクトシダーゼA)が生まれつき欠けている、あるいは働きが弱いことによって、体内の細胞に「糖脂質」という物質が溜まってしまう、まれな遺伝性の病気です。 この物質が溜まることで、心臓、腎臓、神経など、全身の様々な臓器に少しずつ障害を引き起こします。
どのような症状がありますか?
年齢とともに多様な症状が現れるのが特徴です。
- 小児期・思春期:手足の強い痛み、汗をかきにくい、特徴的な皮膚の発疹、腹痛や下痢など。
- 成人期以降:上記の症状に加え、腎臓の機能低下、そして心肥大(心臓の筋肉が厚くなる)や不整脈といった心臓の症状、脳梗塞などを発症することがあります。
ゆっくりと進行するため、成人になって心臓の症状で初めて見つかる患者さんも少なくありません。
なぜ心臓の病気でFabry病を疑うのですか?
Fabry病は一般的にはまれな病気ですが、原因不明の「心肥大」と診断された患者さんの中に、実はFabry病が隠れている割合が3〜4%程度あることがわかってきました。 特に、ご家族に心肥大と診断された方がいる場合などは、Fabry病の可能性を念頭に置いて検査を検討することが重要になります。
どのように診断するのですか?
診断方法は男女で少し異なります。
- 男性の患者さん:血液検査で、原因となる酵素の働き(活性)を測定することで診断が可能です。
- 女性の患者さん:酵素の働きが正常な場合があるため、診断を確定するには遺伝子検査が必要になります。
また、診断のきっかけとして心臓MRI検査が非常に有用です。心臓MRIの特殊な撮影法(T1マッピングなど)を行うと、Fabry病に特徴的な所見が見られることがあり、それが病気の発見につながるケースが増えています。
どのような治療法がありますか?
この病気には、原因に直接アプローチする治療法があります。治療によって症状の改善や病気の進行を抑える効果が期待できます。
- 酵素補充療法:不足している酵素を、2週間に1回の点滴で体内に補充する治療法です。
- シャペロン療法:患者さん自身の体内にある、働きが不十分な酵素を安定させ、その働きを助ける飲み薬です。ただし、この治療法は特定の遺伝子変異を持つ患者さんにのみ効果が期待できるもので、全ての患者さんに適応となるわけではありません。
この病気は遺伝しますか?
はい、X連鎖という形式をとる遺伝性の病気です。父親、母親のどちらが病気の遺伝子を持つかによって、お子さんへの遺伝の仕方が異なります。診断された場合は、ご家族の遺伝カウンセリングや検査について、担当医と相談することが勧められます。



