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外来のご案内

難治性高血圧外来

新設 高血圧治療に、新しい選択肢を。

「お薬を飲んでいるのに、血圧が下がらない」
とお悩みの方へ。

榊原記念病院では、複数の降圧薬を使っても血圧が十分に下がらない方を対象とした「難治性高血圧外来」を2026年10月に開設しました。血圧が下がりにくい原因を専門的に調べ、生活習慣・お薬の見直しから、カテーテルによる新しい治療法「腎デナベーション(RDN)」まで、一人ひとりに合った治療を多職種のチームでご提案します。

当てはまることはありませんか?

  • 3種類以上の血圧のお薬を毎日欠かさず飲んでいるのに、血圧が目標まで下がらない
  • 副作用(ふらつき、だるさなど)があり、これ以上お薬を増やせない
  • 食事(減塩)や運動を一生懸命頑張っているが、成果が出にくい
  • 夜間高血圧を指摘された

ひとつでも当てはまる方は、まずはかかりつけの先生にご相談ください。当院への受診には、かかりつけ医からの紹介状(診療情報提供書)をお持ちいただくようお願いしております。

難治性高血圧とは

生活習慣の改善に取り組み、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を使っても、目標の血圧まで下がらない状態を「治療抵抗性高血圧(難治性高血圧)」といいます。高血圧で治療を受けている方のおよそ1割程度にみられるとされ、脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎臓病などを起こす危険が高いことがわかっています。

「本当に下がりにくい」のかを、まず確かめます

血圧が下がらない背景には、次のような原因が隠れていることがあります。原因が見つかれば、それに合った治療で血圧が下がることも少なくありません。当外来では、まずこれらを一つずつ確認します。

測り方・測る場面 病院でだけ血圧が高くなる「白衣高血圧」や、測定方法の違いによって、実際より高く見えていることがあります。家庭血圧や24時間血圧測定で確認します
お薬の種類・飲み方 お薬の組み合わせや量、内服時間が最適でない場合や、飲み忘れが続いている場合があります。薬剤師とともに見直します。また、非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニンなど)や漢方薬、ステロイドなどが血圧を上げることがあります
生活習慣 塩分のとりすぎ、飲酒、肥満、睡眠不足などは血圧を下がりにくくします。管理栄養士・看護師がチェックします
ほかの病気(二次性高血圧) ホルモン異常(原発性アルドステロン症など)、睡眠時無呼吸症候群、腎臓や腎動脈の病気が血圧を上げていることがあります。血液・尿検査や画像検査で調べます

腎デナベーション(RDN)とは

腎デナベーション(腎動脈交感神経除神経術)は、血圧を上げる働きをもつ「腎臓の交感神経」の活動を、カテーテルを使って抑える治療法です。2026年3月から、治療抵抗性高血圧に対して健康保険が使えるようになりました。

腎臓とつながる血管(腎動脈)のまわりには、脳と腎臓の間で信号をやりとりする交感神経が網の目のように通っています。この神経が過剰に働くと、体に塩分と水分がたまりやすくなり、血管が縮んで血圧が上がります。腎デナベーションでは、足の付け根などの血管から細いカテーテルを腎動脈まで進め、血管の内側からエネルギーをあてて、周囲の神経の過剰な働きを抑えます。

反対側の 腎臓へ 血管の内側からエネルギーをあて、 神経の過剰な働きを抑える 大動脈 腎臓 腎動脈 腎交感神経 (腎動脈のまわりを走る) カテーテル 足の付け根の血管から挿入

※ 当院で作図した模式図です。治療は左右の腎動脈に行います。血管や神経の位置・形は実際とは異なります。

治療の概要

方法 足の付け根などの血管からカテーテルを入れ、左右の腎動脈の内側から高周波あるいは超音波を用いて神経を焼灼します。手術のように体を切り開くことはありません
麻酔 局所麻酔に加え、痛みや不安をやわらげる鎮静薬・鎮痛薬を使用します
治療時間 2時間前後
入院期間 3泊4日〜4泊5日程度
健康保険 2026年3月から、治療抵抗性高血圧に対して保険適用となっています。高額療養費制度の対象となります。詳しくは費用についてをご覧ください

治療を受ける前に知っておいていただきたいこと

  • お薬をやめるための治療ではありません。腎デナベーションは、生活習慣の改善とお薬による治療に追加して行う治療です。治療後もお薬と生活習慣の管理は続けます。治療後の経過によっては、医師の判断でお薬が調整されることがあります
  • 効果には個人差があります。臨床試験では、偽の手技(シャム手技)と比べて血圧を下げる効果が確認されていますが、下がり方は人によって異なり、効果がはっきりしない方もいます
  • 起こりうる合併症があります。カテーテルを入れた部分の出血・血腫、造影剤によるアレルギーや腎臓への負担、まれに腎動脈の損傷などが報告されています。治療前に担当医から詳しくご説明します
  • 保険診療として始まって間もない治療のため、長期の成績は国内の登録調査(レジストリー)などで引き続き確認されています。当院でも治療を受けた方の経過を継続して確認します
    腎デナベーション(RDN)の治療について詳しく見る

治療の対象となる方

腎デナベーションは、日本高血圧学会・日本心血管インターベンション治療学会・日本循環器学会が定めた適正使用指針に沿って、対象となるかどうかを慎重に判断します。主な条件は次のとおりです。

お薬の条件 生活習慣の改善を行い、利尿薬を含む異なる種類の降圧薬を3種類以上使っても血圧コントロールが不十分であること
血圧の条件 診察室血圧が140/90mmHg以上で、かつ早朝・就寝前の家庭血圧が135/85mmHg以上、または24時間血圧測定で基準値以上であること
原因の確認 ほかの病気が原因の高血圧(二次性高血圧)が除外されていること、お薬が指示どおりに服用できていること
腎臓・腎動脈 腎機能が一定以上保たれていること(eGFR 40以上)、腎動脈の形や太さが治療に適していること(腎動脈の狭窄・瘤などがないこと)

最終的な判断は、高血圧専門医・循環器専門医・カテーテル治療の専門医・看護師・薬剤師・管理栄養士等の多職種チームで行います。検査の結果、腎デナベーションの対象とならない場合も、お薬や生活習慣の見直しなど、血圧を下げるための最適な方法をご提案します。

受診から治療までの流れ

1. 専門外来の受診 あらかじめ予約をおとりになり、かかりつけ医の紹介状をお持ちのうえ、予約日に受診してください。これまでの経過やお薬、家庭血圧の記録を確認します
2. 精密検査 家庭血圧・24時間血圧測定、血液・尿検査(ホルモン検査を含む)、腎動脈の造影CTなどを行います。必要に応じて睡眠時無呼吸の検査なども行います。検査期間の目安は1〜2か月です
3. 多職種による指導 看護師・薬剤師・管理栄養士より、生活習慣・お薬・食事などのチェック、指導を行います
4. 治療方針の決定 検査結果をもとに多職種チームで検討し、腎デナベーションの対象かどうかを含めて、治療方針をご説明します。ご本人・ご家族と相談しながら決めていきます
5. 入院・治療 腎デナベーションを行う場合は、入院で治療を行います
6. 退院後の経過観察 当院の外来で定期的に血圧と体の状態を確認します。安定後は、かかりつけ医と連携して治療を続けます

専門外来のご案内

外来名 難治性高血圧外来
診療日時 第2・第4金曜日 午前(完全予約制)
2026年10月から
担当 新保 麻衣、細谷 弓子、舟木 孝志(循環器内科)
多職種による指導 受診日に合わせて、薬剤師による服薬指導、看護師による生活指導を行います(毎週金曜日 午前)。管理栄養士による栄養指導は、ご都合に合わせて日程を調整します
受診方法 当院に通院中の方は、主治医または外来看護師にお気軽にご相談ください。他院に通院中の方は、紹介状(診療情報提供書)をご用意のうえ、予約フォームまたはお電話でご予約ください
お持ちいただくもの 紹介状(診療情報提供書)、お薬手帳、家庭血圧の記録(血圧手帳など)、マイナンバーカードまたは保険資格証

※ 紹介状をお持ちでない場合は、初診時に選定療養費がかかります。詳しくは初めて受診される方へをご覧ください。

医療機関の皆さまへ

血圧コントロールにお困りの患者さんのご紹介をお待ちしております。当外来では、治療抵抗性高血圧のスクリーニング(二次性高血圧・見かけの治療抵抗性の鑑別)から、腎デナベーションの適応判定、治療後のフォローアップまでを行い、経過は担当医より紹介元の先生にご報告いたします。安定後は先生方のもとでの継続管理をお願いしております。

ご紹介の目安

  • 利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を用いても、診察室血圧140/90mmHg以上、早朝・就寝前の家庭血圧135/85mmHg以上が続く方
  • 降圧薬の副作用などで増量・追加が難しく、血圧コントロールが不十分な方

※ 腎デナベーションの適応は、当院での精査のうえで判断いたします。上記に当てはまらない場合も、お気軽にご相談ください。

紹介状にご記載いただきたい内容

  • 現在の降圧薬(薬剤名・用量・服用期間)と、これまでの変更・副作用歴
  • 診察室血圧の推移、可能であれば家庭血圧の記録
  • 直近の血液・尿検査結果(腎機能〈eGFR〉、電解質など)
  • 合併症・既往歴(糖尿病、脳卒中、心疾患、腎疾患など)
  • 二次性高血圧の精査歴

よくあるご質問

腎デナベーションを受ければ、お薬をやめられますか?

腎デナベーションは、お薬をやめることを目的とした治療ではなく、お薬による治療に上乗せして血圧を下げる治療です。治療後もお薬は基本的に続けていただきます。経過によっては医師の判断でお薬が調整されることもありますが、自己判断での中止は危険ですのでおやめください。

誰でも受けられますか?

学会の適正使用指針に沿って、お薬の内容、血圧の値、腎臓の機能、腎動脈の形などを確認し、対象となる方に限って行います。まず専門外来で精密検査を受けていただき、そのうえで治療が適しているかどうかを判断します。

費用はどのくらいかかりますか?

2026年3月から健康保険が適用されており、医療費は保険の自己負担割合に応じた金額になります。高額療養費制度の対象となるため、所得に応じた上限額を超えた分は払い戻されます(事前に限度額適用認定を受ける、またはマイナ保険証を利用すると、窓口でのお支払いが上限額までとなります)。詳しくは費用についてをご覧いただくか、お問い合わせください。

効果はどのくらい続きますか?

海外の臨床試験では、治療後数年にわたって降圧効果が続いたと報告されています。一方、日本で保険診療として行われるようになってからの期間はまだ短く、長期の成績は国内の登録調査などで確認が続けられています。当院でも治療後の経過を定期的に確認します。

当院にかかっていませんが、相談できますか?

まずはかかりつけの先生にご相談のうえ、紹介状をご用意ください。かかりつけの先生から当院の医療連携室へご連絡いただくこともできます。

このページについて

  • 参考:日本高血圧学会・日本心血管インターベンション治療学会・日本循環器学会「腎デナベーションシステムの適正使用指針」(2025年9月初稿、2026年1月改訂)、同「腎デナベーションシステムの適正使用に向けた3学会合意事項」(2025年9月)
    本ページは一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の適否は、診察と検査の結果をもとに担当医が判断します。