心臓病について

心臓病についてのイメージ

心臓病にはさまざまな種類があり、病気によって症状や原因、治療方法が異なります。このページでは、心臓病の主な種類や治療方法などについてご紹介します。

心臓の病気について

2018年の人口動態統計(厚生労働省)によると、心臓病を理由に亡くなる方はがんに次いで2番目に多いことが分かります。以下では、主な心臓病についてご紹介します。

心臓弁膜症

心臓弁膜症とは、心臓の4つの部屋の間にある“弁”に異常が生じ、心臓内に血液が滞ったり、血液が逆流してしまったりする病気です。弁がうまく開かなくなり、血液が滞ることを“狭窄症(きょうさくしょう)”、弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまうことを“閉鎖不全症(逆流症)”といいます。心臓の弁には、それぞれ“大動脈弁(だいどうみゃくべん)”“僧帽弁(そうぼうべん)”“三尖弁(さんせんべん)”“肺動脈弁(はいどうみゃくべん)”などの名称があり、異常が生じた箇所に応じて“大動脈弁狭窄症”“僧帽弁閉鎖不全症”などと呼ばれます。

心臓弁膜症の治療方法は、異常が生じた弁の種類や重症度合い、患者の全身状態によって異なります。主な治療方法としては薬物療法や血管に“カテーテル”という細い管を入れて行う“カテーテル治療”のほか、弁の形を整えたり(弁形成術)人工弁を留置したり(弁置換術)する手術治療が検討されます。

それぞれの心臓弁膜症について詳しく解説

冠動脈疾患(虚血性心疾患)

冠動脈疾患は虚血性心疾患とも呼ばれ、狭心症や心筋梗塞(しんきんこうそく)など心臓の筋肉(心筋)に血液を送る“冠状動脈”に関連する病気を指します。狭心症とは、冠状動脈が狭くなることにより心筋へ十分な血液が行きわたらなくなり、さまざまな症状が現れる病気です。また心筋梗塞とは、冠状動脈が血栓などで完全に塞がって心筋に血液が行かなくなり、心筋が壊死(えし)してしまう病気です。心筋梗塞では強い胸の痛みなどの症状が20分以上続き、命に関わることもあるため、速やかに救急車を呼び医療機関を受診することが大切です。

冠動脈疾患の主な治療方法としては、薬物療法やカテーテル治療のほか、狭くなったり、詰まったりしてしまった冠状動脈に代わる迂回路(血管)を作る“冠動脈バイパス手術”などの手術治療が検討されることが一般的です。

それぞれの冠動脈疾患(虚血性心疾患)について詳しく解説

心筋症

心筋症とは、心臓の筋肉(心筋)になんらかの異常が生じる病気です。心筋が分厚くなる場合を“肥大型心筋症”、心筋が薄くなる場合を“拡張型心筋症”、心筋が硬くなる場合を“拘束型心筋症”といいます。心筋症は原因が分からず発症する場合もありますが、冠動脈疾患や心臓弁膜症、高血圧症などほかの病気を原因に発症する場合もあります。

心筋症の主な治療方法としては、まず原因疾患の治療や薬物療法が検討されることが一般的です。しかし、重症例では体の中にペースメーカーを入れる心臓再同期療法が検討されることがあるほか、心臓移植などの手術治療が検討されることもあります。

不整脈

不整脈とは、心臓の拍動をコントロールする電気信号に異常が生じ、脈拍が乱れることをいいます。脈が遅くなることを“徐脈性不整脈”、脈が早くなることを“頻脈性不整脈”といい、それぞれに特徴が異なります。

徐脈性不整脈は命に関わることはまれですが、脳への血流が止まることにより、意識を失うことがあります。また頻脈性不整脈のうち、心室細動では突然死に至る恐れがあるほか、心臓内の血液が淀み、血栓ができやすくなることにより、脳梗塞などのリスクが高まります。

不整脈の治療方法は、種類によって異なります。徐脈性不整脈の場合、重症例ではペースメーカーの植え込みが検討されることがあります。また頻脈性不整脈の場合、薬物療法やカテーテル治療、植え込み型除細動器の植え込みなどの治療が検討されます。

弁膜症を伴う心房細動に対しては、心房を切開・縫合することによって異常な電気回路を断ち切る“メイズ手術”“肺静脈隔離術”などの手術治療が検討されることもあります。

それぞれの不整脈について詳しく解説

大動脈疾患

大動脈疾患とは、心臓から全身に血液を送り出す“大動脈”と呼ばれる血管に生じる病気です。代表例として、大動脈の一部がこぶのように拡張して血管の壁が薄くなってしまう“大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)”や、血管の壁の内側が裂けて血管内の血液の通り道が2つに分岐してしまう“大動脈解離(だいどうみゃくかいり)”などが挙げられます。

大動脈疾患の治療方法は、病気の種類によって異なります。大動脈瘤の場合、こぶが破裂する危険性があれば、大動脈を人工血管に入れ替える“人工血管置換術”などの手術治療や、カテーテルを使った“ステントグラフト留置術”などが検討されることが一般的です。

大動脈解離の場合は、発症したら速やかな治療が必要です。解離が生じた部位に応じて手術治療や血圧を下げる薬物療法などが検討されます。

それぞれの大動脈疾患について詳しく解説

心臓腫瘍

心臓腫瘍(しんぞうしゅよう)とは、心臓に生じる腫瘍のことです。発生頻度はごくまれで、およそ70%は良性、残りの30%が悪性といわれています。良性の心臓腫瘍の場合、症状の有無や腫瘍による血管などの塞栓(そくせん)のリスクを考慮し、必要であれば手術治療が検討されます。

また、悪性の心臓腫瘍の場合、ほかの部位に生じたがんが転移したものであれば、まずは元となるがんの治療が検討されます。心臓から発生した悪性の心臓腫瘍の場合には、手術が可能であれば手術治療が検討されます。しかし術後の再発率が高いといわれているため、化学療法や放射線治療を組み合わせた治療が行われることが一般的です。

先天性心疾患

生まれつき心臓の形や機能に異常のある病気を先天性心疾患と言います。大きく分けて、(1)心臓に穴があいていて大量の血液が本来とは違う流れとなり、心臓や肺に負担のかかる場合(非チアノーゼ性心疾患)と、(2)酸素の少ない静脈血が、異常な心臓の穴などを通って、大動脈から全身に流れるために唇や手足が紫色になる場合(チアノーゼ性心疾患)があります。従来、小児(循環器)科や心臓外科で治療されることが多かったのですが、近年の治療の進歩に伴い、成人期に達する先天性心疾患の患者さんが増加しており、小児科から循環器内科への移行期医療の問題など、今後解決しなければいけない分野の1つとなっています。

それぞれの先天性心疾患について詳しく解説

治療の特徴

やさしさとぬくもりのある質の高い医療を患者様へ。医療を通じて、地域社会に貢献します。

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狭心症や心筋梗塞後に対する冠状動脈バイパス術、心臓弁膜症(大動脈弁・僧帽弁・三尖弁)の患者さんが適応の体に負担が少ない手術

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心臓病に対するロボット手術とは

近年は医学が進歩したことにより、小さな傷かつ胸骨を切らずに肋骨(ろっこつ)の隙間から行う患者さんの負担を抑えた手術方法が登場しています。今回はその中でも、手術用ロボット“ダヴィンチ”を使った心臓手術についてご紹介します。

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心臓弁膜症の治療方法とは ~MICSやカテーテル治療、ロボット支援下手術について解説~

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低侵襲冠動脈バイパス手術(MICS-CABG)とは ~虚血性心疾患に対する治療法を解説~

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マイトラクリップを用いたカテーテル治療~僧帽弁閉鎖不全症の治療方法を解説~

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TAVIとは ~大動脈弁狭窄症の治療方法について~

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セカンドオピニオン

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帝国大学医学部附属病院

帝京大学医学部附属病院は、総合病院のため、合併症が多くある患者さんでもほかの診療科の医師と協力しながら治療を行うことができます。手術支援ロボットダビンチを用いて、低侵襲心臓弁膜症手術(僧帽弁形成術等)を行っています。

住所
〒173-8606 東京都板橋区加賀2-11-1
診療受付時間
平日 9:00~17:00 土曜 9:00~12:30
休診日
日曜・祝日・年末年始(12月29日~1月3日)、創立記念日(6月29日)

帝京大学医学部附属病院について

帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 主任教授
下川 智樹
心臓弁膜症、冠動脈疾患、大動脈疾患、心房中隔欠損症へ
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