不整脈とは

不整脈とはのイメージ

不整脈とは、心臓の電気信号に異常が生じることで、脈が飛んだり、遅くなったり、逆に速くなったりしてしまう状態の総称です。脈の速さは、体を動かしたり感情が動いたりすることによっても変化します。しかし、時に病気が原因で脈の速さが変わることもあり、この場合には治療が検討されることがあります。

このページでは、不整脈の種類や症状、主な治療方法などについてご紹介します。

不整脈とは?

不整脈とは、心臓の電気信号の異常によって脈が乱れることをいいます。決して珍しいものではなく、30歳を超えるとほとんどの方に脈が飛んでしまう“期外収縮”などの不整脈がみられるようになるといわれています。また誰でも体を動かしたり、感情が動いたりした際に脈が速くなるなど、生理的な理由でも脈に変化が起こります。

▲不整脈を起こした心臓の様子

しかし、中には何らかの症状を現す不整脈や命に関わる不整脈もあり、この場合には治療が検討されます。

不整脈の種類

不整脈は大きく分けると、脈が遅くなる“徐脈性不整脈”と脈が速くなる“頻脈性不整脈”があります。以下では、それぞれの特徴についてご紹介します。

徐脈性不整脈

徐脈性不整脈とは、脈が通常よりも遅くなることをいいます。命に関わることはまれですが、3秒以上心臓が動かなくなると脳に血液が循環しなくなり、意識を失ってしまうこともあります。

主な徐脈性不整脈として、心臓に電気信号を送る“洞結節”という部位が弱くなることによって生じる“洞不全”や、心房から心室へ電気信号が伝わりにくくなることによって生じる“房室ブロック”などがあります。

頻脈性不整脈

頻脈性不整脈とは、脈が通常よりも速くなることをいいます。軽度なものでは命に関わることはまれですが、種類によっては突然死に至る恐れのあるものもあります。

主な頻脈性不整脈として、脈が1拍だけ乱れる“期外収縮”のほか、電気信号が完全に乱れる“細動”などが挙げられます。特に脳梗塞(のうこうそく)を引き起こす恐れのある“心房細動”、突然死に至る可能性のある“心室細動”などは、注意が必要な頻脈性不整脈といえます。

不整脈の原因

不整脈は種類別にさまざまな原因が考えられます。生まれつきの異常による場合もありますが、生活習慣によって引き起こされるものもあるといわれています。

たとえば心房細動では、以下のような習慣や病気などが関連して生じることが多いといわれています。

頻脈の1つ“心房細動”の主な危険因子

心房細動は、飲酒や喫煙などの習慣がある方に生じやすいといわれています。また、関連する病気としては、高血圧症、糖尿病、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病など、さまざまな病気が挙げられます。

不整脈の症状

不整脈の種類によって症状が異なります。たとえば徐脈性不整脈の場合、体が疲れやすくなったり、息切れが生じたりするほか、重症の場合には意識を失うこともあります。

頻脈性不整脈の場合は、軽度では自覚症状がない方もいます。症状がある場合、動悸などがみられることが一般的です。前述のとおり、中でも心房細動では脳梗塞が生じる可能性があるほか、心室細動では突然死に至ることもあります。

不整脈の検査方法

不整脈が疑われた場合、まずは心電図を24時間かけて測定する“24時間携帯型心電図(ホルター心電図)検査”が行われます。この検査のみでは診断や治療方針の決定が難しい場合、心臓の中に“リード”といわれる電極を入れて、心臓内の電気信号の状態を読み取る“心臓電気生理学的検査(EPS)”が行われることもあります。

不整脈の治療方法

治療が必要な不整脈が見つかった場合、まずは薬物療法が検討されることが一般的です。治療薬には、抗不整脈薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗凝固薬などさまざまな種類があり、病気の種類や患者さんの状態に合わせて検討されます。

薬物療法を行っても改善しない不整脈では、種類に合わせて以下のような治療が検討されることがあります。

徐脈性不整脈の場合

徐脈性不整脈の場合、電気信号の発生や伝達を補助する“ペースメーカー”を体の中へ埋め込むことが検討されます。

頻脈性不整脈の場合

頻脈性不整脈の場合、カテーテルアブレーション治療や植え込み型除細動器(ICD)の植え込み、メイズ手術などさまざまな治療方法が検討されます。以下では、それぞれの治療について簡単にご紹介します。

カテーテルアブレーション治療

カテーテル治療とは、血管に“カテーテル”と呼ばれる細い管を通して行う治療方法です。カテーテルアブレーションでは、太ももの付け根(鼠径部)の静脈あるいは動脈から心臓までカテーテルを進め、不整脈の原因となっている部分を焼いて破壊(焼灼)することによって頻脈性不整脈の改善を目指します。特に心房細動や心室細動などの頻脈性不整脈に対して行われることが一般的です。

植え込み型除細動器(ICD)の植え込み

心室細動のように突然死に関わる頻脈性不整脈では、“植え込み型除細動器(ICD)”を植え込むことも検討されます。植え込み型除細動器とは、心室細動が生じた際にそれを察知し、自動的に心臓へ電気ショックを与えることで、突然死を防ぐ機器です。

心房細動に対するメイズ手術とは?

カテーテルアブレーション治療や植え込み型除細動器(ICD)による電気ショックでも治療の難しい心房細動の場合、手術治療が検討されることがあります。メイズ手術とは、心房内に切開や縫合を加えることによって異常な電気信号の回路を断ち切り、正常なリズムに戻す治療方法です。

受診希望の方へ

不整脈にはさまざまな種類があり、種類によって現れる症状や発症の原因、治療の必要性が異なります。気になる症状があるときは、医療機関の受診を検討しましょう。また、不整脈の中には進行するまで無症状で経過するものもあります。そのため、症状のないうちから定期的に健康診断を受けるなど、健康管理に努めましょう。

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帝京大学医学部附属病院 心臓血管外科 主任教授
下川 智樹
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