先輩からのメッセージ 第1回 加藤 健介さん

第1回 加藤 健介さん「病気を持って生まれてきたからこそ、経験できることもある」

Q.自己紹介をお願いいたします。

初めまして。加藤 健介といいます。私はファロー四徴症という病気です。これまでに10回ほど入院し、5回手術をしました。
まだ私が1歳にもならない頃から榊原記念病院でお世話になっており、今は3ヶ月に1度の外来で経過観察を行っています。

 

Q.ご自身の病気について、また、これまでに受けた手術について教えてください。

病気は【ファロー四徴症】です。ファロー四徴症とは、一般的に、1.肺動脈狭窄症(PS) 2.心室中隔欠損症(VSD) 3.大動脈騎乗 4.右室肥大 を指します。
私の場合は、1.肺動脈閉鎖症(PA) 2.動脈管開存症(PDA) 3.心房中隔欠損症(卵円孔開存症)(ASD【PFO】) 4.右側大動脈弓(RAA)という診断もつきました。
これまでに、5回の手術を経験しました。最後の手術は約20年前になります。

Q.病気のことは、周囲の方にどのように伝えてますか? 

幼稚園の入園にあたって、両親から園長等に病気のことを説明し、かつ、主治医からの病状説明書も併せて提出しました。小学校入学の際も同様でした。進級の都度両親から担任への説明はありましが、同級生には進級進学の都度、私からも説明していたと思います。

Q.学校生活や友人との間で困ったり、苦労したことはありますでしょうか?そんな時、誰かの助けを借りたことはありますか?工夫したことについて教えていただけますか?

まず幼稚園入園に関して、市から指定された養護施設を紹介されたため、両親が見学に行きましたが、両親があまりにも私を通わすには無理があると感じたそうです。偶然にも父親の同級生が一般の幼稚園を運営しており、事情を説明し承諾を得て通園することができました。
また、小学1年生の頃クラスメイトの男子から、手術後の傷に関して冷やかしや、今で言えば虐めに近いようなことがあります。最初はそのことについて反論していましたが、その結果問題が大きくなり、最後は両親に相談し、担任の先生と冷やかしをしていた生徒の親を巻き込み、解決した記憶があります。

特別な工夫はしていませんが、経験からお話すると、病気を持っているということを、まず始めにクラスメイトに知ってもらうことが大切であることを感じました。それから適宜病気について説明することも必要だと思っています。陰口を叩く人もいたと思いますが、こればっかりはどうにもならないと小さいながらに悟っていたのだと思います。ですので相手にしていませんでした。当時いつも一緒にいた友人がいました。それが一番の支えになっていたのだと思います。
あと、運動会のリレーや体育の授業の長距離走、プールに参加できなかったことは、正直に話すと辛かったですが、しかし、今こうして自分がいます。

Q.自身の進路選択の際、どのように決めてこられましたか? 

幼稚園を卒業後、公立の一般の小中高へ進学することができました。そして高校を卒業した後は、アルバイトをしながらハローワークへ通い就職先を探していました。
ここで一つの問題に直面しました。それは就職口が一般枠なのか障害者枠のどちらで志望するかです。悩んだ末に私の外来主治医に相談しました。先生の口から「障害者枠で榊原で働かないか?」
先生のこの一言がきっかけで、私は榊原で仕事ができるようになりました。

榊原に入職後、まず看護助手として、病棟とカテーテル室で数年勤務しました。その後将来のことを考え、医療事務の資格を取得し、医療事務としてこれまでに3つの部署で勤務してきました。

Q.現在の職業につかれて、楽しいことややりがいを教えてください。

現在、用度課資材係という、病棟や手術などで使用する物品の準備や補充をメイン業務として行っています。
患者さんとは直接関わることはないですが、例えば手術で使用する人工血管や人工弁が、どう患者さんに作用するのか、針1本とっても様々な種類があり、それぞれ特徴もあります。どのような処置で使用するのかなどが理解できた時、すごく充実した気持ちになります。
用度課には異動して5ヶ月ほど経ちましたが、わからないことばかりです。これから少しずつ知識を増やし、先生や看護師さん、コメディカルの皆さんの手助けできたらいいなと感じています。

Q.これから大人になる子どもたち、ご家族の方に応援メッセージをお願いいたします。

小さいころは、病気にことで悩むことはあまり無かったとしても、進学した学校や日常生活の中で様々な葛藤が生まれてくると思います。
誰も分かってくれないだろうと一人で悩まず家族や友人、学校や病院の先生に相談してみるといいと思います。解決されないこともありますし納得できない回答で余計に悩むかもしれませんが、一人で悩み続けずに、誰かに話を聞いてもらう行為が大事だと思います。
実際私は主治医から「どうしよう、どうしよう と悩まないこと」と言われたことがあります。
健常者に比べ身体の制限があり、あまり無理はできないと思います。制限範囲以内で自分のできることを精一杯熟していけばいいと思います。

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