Pharmacy
心不全、不整脈や虚血性心疾患などの循環器領域において、薬物療法は大切な治療法です。循環器医療チームの一員として患者さんのニーズを理解し、最適な治療を薬学的観点から考え、安全で適切な薬物治療の提供に努めています。
当院は、成人循環器以外に、小児循環器や感染症治療、妊婦・授乳婦への投薬など、さまざまな分野のお薬を扱うため、幅広い知識の習得が必要です。ジェネラリストから循環器分野におけるプロフェッショナルの薬剤師として、循環器領域はもちろん、さまざまなお薬の情報を提供できるよう、日々研鑽を積んでいます。
薬剤師:常勤18名
薬剤科では、患者さんの循環器疾患に対して適切な薬物治療が行われるように、お薬の準備・供給・調製および服薬指導を行っています。調剤室をはじめ病棟など院内のさまざまな場所でお薬に関わる仕事を行っています。
〇お薬の準備・供給・調製
医師の処方箋のもと、お薬をとりそろえる調剤のほか、入院患者さんの毎日のお薬(内服・注射)のセット、高カロリー輸液や心臓手術に使用する注射薬の調製などを行っています。
お薬の管理のうち医療用麻薬の管理も薬剤師が行っています。当院は心臓手術やカテーテル治療が多く行われており、麻薬の使用頻度が多いため薬剤師が管理しています。
〇服薬指導
患者さんが入院されたらまず、処方薬や副作用・アレルギー、ご自宅での内服状況について確認させて頂きます。そして患者さんから得たお薬の情報と検査データなどカルテの情報をもとに、医師へ処方提案を行います。
入院中はお薬の効果・副作用のチェックをし、退院に向けて服薬指導を行っています。
〇持参薬鑑別
「持参薬」とは、患者さんが入院される際にお持ちになる、普段服用されている薬のことです。入院前に、患者さんがどのような薬を、どれだけ、どのように服用されているか、またどれだけ残りがあるかを、入院時に面談して確認します。複数の受診医療機関から処方されている薬の重複や、薬の相互作用の確認などができ、患者さんの薬に対する安全性が向上します。調べた内容を医療情報システムに入力して情報を共有することで、医師の処方支援を行っています。
〇チーム医療
各種委員会に参加して薬剤師の視点から意見を提供しています。主にICT(感染制御チーム)、NST(栄養サポートチーム)、心不全チームで活動しています。
〇抗菌薬の適正使用の管理
当院は心臓手術を多数行っています。そのため、術後感染の予防・治療として抗菌薬を使用する機会が多くあります。医師への抗菌薬の投与量の提案や薬物血中濃度の測定を依頼するなど、抗菌薬の適正使用に力を入れています。
〇外来との関わり
外来のお薬は院外薬局に調剤をお願いしています。処方せんを発行する際、調剤室では診療記録や検査値をチェックし、処方内容が適切か監査します。院外薬局からの問い合わせも、薬剤科が窓口となってお答えしています。
〇治験
当院はさまざまな治験に参加しています。薬剤科では治験薬の管理や患者さんへのお薬の受け渡しを行っています。
〇院内研修 薬学生の教育
循環器医療におけるプロフェッショナルの育成をめざし、1~3年目の薬剤師に対して研修を用意し、基本業務を教えています。4年目以降も全ての仕事が出来るように、調剤室、注射室、病棟と各部署をローテーションして配置しています。このような取り組みを通して、幅広い視点からお薬の評価を行い、適切な薬物治療へ繋げたいと考えています。そのほか、看護師に向けたお薬の院内研修会を行っています。
薬学教育においては、大学と提携し薬学部実務実習生を受け入れており、未来の薬剤師の育成に貢献しています。
〇地域医療における関わり
近隣医療機関の薬剤師の方々と勉強会を行い、新薬や最近の循環器に関わる話題について学んでいます。当院の医師を講師として、心不全や不整脈に関する勉強会も随時行っています。