2-2 心室中隔欠損症(VSD)

心室中隔欠損症(VSD)とは

  • 心室中隔欠損症とは、「心室」と呼ばれる部屋の「真ん中」を「隔てる」壁に「欠損」がある(穴が開いている)病気です。
  • 欠損があることにより血液の交通が生じます。
  • 左心室と右心室の力を比べると左心室の方が力が強いため、欠損を通る血液は左心室から右心室へ流れます。右心室は肺動脈につながっており、肺動脈へ血液が多く流れます。

症状

  • 肺動脈に血液が多く流れることにより、肺に血液がうっ滞する現象である「肺うっ血」や肺動脈の血圧が上昇する「肺高血圧」という状態を引き起こします。
  • それにより呼吸が苦しくなり、多呼吸(呼吸数の増加)や陥没呼吸(肋骨の下が凹む呼吸様式)という呼吸器症状が初めに見られ、呼吸が苦しいことで哺乳不良や体重増加不良へとつながります。こられの症状を心不全症状と呼びます。

治療

  • 欠損が大きく、上記の心不全症状が見られる方は、手術が必要になります。
  • 欠損が小さく、症状が見られない場合は、外来観察となります。その中には自然に欠損が閉鎖する方もいます。
  • 手術は「心室中隔欠損閉鎖術」を行います。パッチと呼ばれる人工の当て布を用いて欠損を閉鎖します。
  • 症状を長年放置してしまうと、肺高血圧が悪化し、手術ができなくなることもあります。
  • また、上記の症状がみられなくても、欠損の位置によっては大動脈弁に変形や閉鎖不全を起こすことがあり、その場合も手術が必要になります。

外来・予後

  • 手術を受けた方も手術が必要ない方も予後は良好です。他のお子さんと同じように日常生活を送ることができます。
  • 小学校・中学校・高校へは「学校生活管理指導表」の提出が必要です。
  • 手術を受けて間もない方や手術が必要ない方は、歯科医院での抜歯の際に心臓病の合併症の一つである「感染性心内膜炎」の予防のため、処置前に抗生物質の内服が必要と言われています。

感染性心内膜炎の予防について(PDF)