2018.01.08

心臓病と妊娠・出産 〜 産婦人科のとりくみ(その2)〜

当院の産婦人科では、正常分娩を多数とり扱っています。経験豊富なスタッフと充実した設備のもと、安全で快適な妊娠・分娩をモットーとして、初診、診断、治療にあたっています。また当院は地域の中核病院であることから、妊娠中に心臓病などの合併症を生じた場合や、胎児に何らかしらの異常が発見された場合に、他の産科医院や一般病院からの母体搬送を受け入れています。当院では、産婦人科の専門医が夜間も常駐しているため、思いがけず母子が危険な状態になった場合でも、素早い対応が可能です。

当院の産婦人科の特徴について、産婦人科部長の桂木医師と、超音波専門医の吉田医師、そして遺伝専門医の森崎医師に聞きました。

――榊原記念病院の産婦人科では、正常分娩にも力をいれていらっしゃると伺いました。

はい、そのとおりです。当院で扱う分娩のうち、正常分娩の占める割合は年々上昇しています。当院は循環器専門病院ですが、心臓病をお持ちの方にも安心して妊娠と出産を迎えていただきたいとの思いから、2014年6月に産婦人科を開設しました。開設当初は、心臓病の合併症をもつ方のご出産や、胎児に心臓病の懸念のある妊娠を専門的に扱っていました。しかし昨今は、女性の晩婚化や晩産化の影響もあり、胎児の先天異常のリスクを懸念されたご相談や、胎児超音波検査のご希望が増えています。胎児超音波検査の精度は、検査医の経験と技術に大きく左右されます。当院では、胎児への先天性心臓病の検査の必要から、高度な診断技術と豊富な経験をもつ超音波専門医が2人います。現在当院では、こうした持ち前の専門性を活用しながら、より広く一般の方々を対象として、妊娠期の不安や疑問にお答えする診断や治療に努めています。昨年(2016年)は160件の分娩をとり扱いましたが、そのうちの3分の1が正常分娩でした。

――榊原記念病院の産婦人科を受診するメリットは何ですか。

安全で快適に妊娠・分娩していただくことをモットーに、私たちは、妊婦さんの不安や疑問に答えるきめ細かな診療と対応に努めています。産前サポートのひとつとして、マタニティーヨガ教室を用意しています。少人数制のクラスで、医師の許可を受けた妊娠16週以降の方であれば、どなたにもご参加いただけます。マタニティーヨガには、産前や産後の腰痛軽減効果や、妊娠期の不安感を和らげ穏やかな気持ちを引き出す効果があります。また助産外来も開設しています。助産外来では、新しい命をさずかる上での不安や悩みなどについてご相談いただけますし、産前・産後の身体づくりや運動の仕方、それに食生活の注意点などについてアドバイスも行っています。出産後には、母乳や育児相談にも助産外来をご利用いただけます。

dr_katsuragi

氏名:桂木 真司(かつらぎ しんじ)
<略歴>
1967年 宮崎生まれ
1995年 宮崎医科大学医学部医学科卒
宮崎大学産婦人科、国立循環器病センター 周産期・婦人部 部長等を経て、2013年4月より榊原記念病院勤務、医学博士

dr_katsuragi

氏名:吉田 純(よしだ あつし)
<略歴>
1964年 東京生まれ
1989年 防衛医科大学校医学教育部医学科卒
防衛医科大学校産科婦人科、三重大学産科婦人科、国立病院機構西埼玉中央病院産婦人科等を経て、2015年より榊原記念病院勤務。医学博士

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氏名:森崎 裕子(もりさき ひろこ)
<略歴>
1956年 静岡生まれ
1980年 東京大学医学部医学科卒業
東京大学医学部附属病院、Duke大学医学部、Pennsylvania大学医学部、国立循環器病センター 臨床遺伝科医長を経て、2016年4月より榊原記念病院勤務。医学博士

  • 臨床遺伝専門医
  • 指導医
  • マルファン症候群やエーラスダンロス症候群をはじめとして、様々な先天性の病気や遺伝病 の患者さんの診療と研究に長く携わってきました。病気に限らず、家族のこと、学校や仕事のこと、結婚のことなど、遺伝に関係するあらゆる問題のご相談にのりますので、気軽にお声をおかけください。